Shands HealthCare、ラリタンのDCIMソリューションdcTrack®でアセットトラッキングを50%効率化

社内データセンターのリソースの把握や状況確認にDCIM(データセンターインフラ管理)を活用してきた米国大手のヘルスケアプロバイダー、シャンズ・ヘルスケア(Shands HealthCare) 。同社では、そうして得た情報をもとにより優れた意思決定が可能になり、パフォーマンスやキャパシティプランニングが改善されているという。「DCIMソフトウェア dcTrackによって、電力、スペース、ネットワーク、冷却など、当社の全データセンターにおける最新のキャパシティ状況を把握できるようになりました」と、フロリダ州ゲインズビルにあるシャンズ・ヘルスケアのデータセンター運用管理者、ジョセフ・キーナ(Joseph Keena)氏は語る。「その結果、データセンターのキャパシティをより正確に追跡し、将来のインフラニーズを見極められるようになりました」

質の高い患者ケアやサービスを提供するため、シャンズのデータセンターでは200以上のアプリケーションをサポートしている。電子メールやインターネットサイト、バックオフィスツール、人事や財務支援用アプリといったほとんどの企業で見かける典型的なものから、検査室や救命救急室(ER)、病室、診察室、X線室での業務を支援する医療専用のものまで、シャンズ・ヘルスケアネットワークのほぼあらゆる所でさまざまなアプリケーションが使われている。その中でもシャンズにとって最も重要なアプリケーションが、患者のケアを行うあらゆる医療スタッフをサポートする 「EPIC」と呼ばれる病院の情報システムだ。ビッグデータの発生装置ともいうべきEPICでは日々、受診データや診療記録をはじめ、検査でのすべての作業手順などシャンズの施設内のあらゆる情報を収集している。そうしてデータを集積していった結果、シャンズのデータ容量はペタバイトを超え、さらに今後18ヶ月間で倍増するものと予想されている。

「DCIMソフトウェア dcTrackによって、電力、スペース、ネットワーク、冷却など、当社の全データセンターにおける最新のキャパシティ状況を把握できるようになりました」
ジョセフ・キーナ
シャンズ・ヘルスケア データセンター運用管理者

データ容量の拡大に伴い、データセンターも1施設から4施設へと増設されてきた。4施設のうち2施設は災害復旧用として、1施設はサブストレージとして使用。残る1施設はメインのデータセンターとして、ラック機器120台、500kVAのUPS(無停電電源装置)が2台、そしてメインフレームコンピューターが配備されている。この最先端データセンターの広さ3,000平方フィートのスペースに置かれたサーバーラックには、Vmwareベースの物理サーバー20台と仮想ホスト185台を収納することでスペースを大幅に節約してきた。

データセンターの貴重なスペースのさらなる有効利用に加え、シャンズは機器や電源、冷却といった自社のリソースをもっと効率よく管理する方法を探していた。そこでシャンズが選択したのが、あらゆるデバイスの情報が正確かつリアルタイムに表示され、詳細なデータが確認できることに加え、複数のデータセンターすべてにエンドツーエンドの接続性を提供してくれるラリタンのdcTrackソリューションだった。dcTrackはサーバーや機器、ネットワーク、ファシリティ設備を監視し、機器はもちろんOAフロアのスペースやラック立面図まで詳細な情報を表示する。また、資産管理に優れているだけでなく、電力容量や放熱、データネットワークの可用性など、データセンターのキャパシティ情報をラリタン独自の方法でリアルタイムに提供する。

 
ラリタンはシャンズ・ヘルスケアのデータセンター運用管理者、ジョセフ・キーナ氏にお会いし、DCIMを活用してデータセンターの優れたリソース管理を実現する方法を詳しく伺った。  
DCIMソリューションの導入を急いだ背景には何があったのでしょうか?

シャンズはかなり長い時間をかけてデータセンターの規模を拡大してきたのですが、この拡大につれ、データセンター内の機器や各機器の接続状況を追跡管理するためのもっと優れた方法が必要になってきたのです。まずIT資産を紙に記録することから始め、その後、在庫チェックに一列ずつサインしたり、さらにはスプレッドシートを使い始めたりと、通常のことは全部やってきました。何がどこにあって、スペースやキャパシティがどのような状況になっているのか追跡するという意味で、やれることはすべてやったという感じですね。

刻々と変化する環境の中でどうにか資産の追跡をしているという状況に加え、他のデータセンターと同様、我々も電源、スペース、冷却間のバランスをとるのに常に苦労していました。これら3つのうちの1つを解決すると、それがもう1つ、あるいは残りの2つに影響し、容量不足になってしまうのです。そうした状況の中で最適なキャパシティプランニングを実行し、成長を持続させるにはDCIMが必要になるだろうということに気づいたのです。DCIMならデータセンターのどこに何があって、何をしているのか追跡できますから。まさに自然の流れといいますか、その時点でDCIMソリューションに投資する必要があったということです。

では、なぜラリタンのdcTrackを選ばれたのでしょうか?

当社では実際、複数のベンダーに提案を依頼するという一般的なプロセスをとっており、そのプロセスの過程でベンダー4社に絞り込んでいきました。ラリタンを選んだ理由のひとつが、DCIMを導入する過程で、ラリタンのどの担当者の方もシャンズと真のパートナーになることを望んでくださっていたからです。ラリタン製品といえば非常に長い間、データセンターのスペースに置かれてきた歴史があり、彼らにとっては我々のようなデータセンタースペースも特に目新しいものではなく、提案もとってつけたようなものではありませんでした。dcTrackなら資産、キャパシティ、変更管理のいずれにも欠かせない重要な要素をすべて備え、ラリタンのエネルギー管理や電源管理ソリューション(Power IQ®)とのシームレスな連携ができるので、主なDCIM領域もすべて網羅できます。そこで、仮想アプライアンスのdcTrackを購入し、すべてのラックに配備することにしたのです。

dcTrack導入までの過程をお聞かせいただけますか?

段階的にアプローチしていきました。第一段階が「デバイスやサーバーをすべて把握する」。そして第二段階が「その接続状況をすべて把握する」です。KVMなのか銅線なのか、ファイバーなのか、電源に接続されているのか、といったことです。

まず、ラリタンのトレーニングスタッフが、dcTrack製品を使ってオンサイトの体験トレーニングを実施してくれました。これは貴重な経験でした。トレーニングを受けたあと、シャンズの導入チームは2、3週間かけて、導入に必要な基準やプロセスを作成し、どのように物理在庫を確認すべきかといった項目について取り組みました。dcTrackは、個々のユーザーに合った独自のプロセスを作成するのに役立ちます。というのもdcTrackソリューションは柔軟性があるため、パッケージの形式に縛られなくて済むのです。たとえばdcTrackには広範なデバイスライブラリが同梱されているのですが、それを自社のエレメントに簡単に追加することができます。基準やプロセスを設定してしまえば、仮想アプライアンスdcTrackの実装は非常に単純で、とても簡単にできます。実装を担当したサーバーチームもまったく何の問題もありませんでした。

既存のデータセンターにDCIMを導入するのは難しかったのでは?

私たちは明らかに24時間365日、年中無休で活動している施設であり、ひとつの取りこぼしも中断も許されません。ですから作業を分けました。最初のステップとして、小さめの場所で3段階のプロセスを使った資産在庫の確認を行いました。スタッフの誰かがデータセンターに出かけ、あらかじめ在庫確認をします。担当の人間は出かけてくるとこう言います。「では、いいですか。そのサーバーが、どのメーカーで、これこれのモデルで、こういう名称で、ここのラック内にあり、サイズはこうです」と。そうした情報は次の担当者に引き継がれ、dcTrackへと入力されます。そして次に3番目の担当者がdcTrackで生成したレポートを手にしてこう言います。「実際にラック内にあるものと比較したうえでこの情報が正確であることを認証してください」と。このチェックとバランスのプロセスは、私たちの成功には不可欠でした。

ラックや場所の確認作業が完了すると、その場所に搬入するもの、あるいは撤去するものはdcTrackを通してから物理的作業を完了することになります。
機器の変更や追加、移動があると、dcTrackの自動検出エンジンが在庫データベースの更新を行ってくれるので、情報を手動で入力する手間が不要になり、情報の正確さも保証されました。

すべてのデータセンターの物理在庫の確認が完了したあと、第2段階へと進み、すべてのKVM、銅線接続、電源接続、ファイバー接続を含むあらゆる接続状況の確認作業に入ります。

そして第3段階では、ネットワークインフラグループと提携し、データセンター外部にある通信室の一室をパイロットとして使用します。それらグループの中心メンバーにオンサイトトレーニングを実施することで、彼らは通信室の一室やdcTrackにおける通信室内外のあらゆる接続を設計していくことができます。

第4段階として、データセンターの電力使用状況を収集し、レポートするSNMPを使用していく予定です。シャンズでは電力の使用状況を追跡し、PUE (電力使用効率)を算出してくれるdcTrackの機能を活用したいと考えています。dcTrackでは、電力データや環境データを収集したり、個々のデータセンター機器の消費電力をリアルタイムで測定して未使用の電力容量を把握するといったPower IQの機能を活用することができます。

dcTrackは、シャンズ・ヘルスケアのIT資産追跡にどのように役立っていますか?

dcTrackを導入する以前、資産追跡といえば、データセンターまで出向いてサーバーが所定の位置にあるのかないのかを確認する作業を意味していました。しかし今では、dcTrack画面から資産情報を引き出すだけで、サーバーXはこのラックのこのユニットにあるとか、以前の物理サーバーから仮想サーバーになっているといったことがすぐに確認できます。資産の正確な記録があることで、それぞれの資産のデータセンター内の物理的ロケーションの管理が50%も効率化しました」

dcTrackに新しい機能を追加してほしいとリクエストされたと伺っていますが。

早い時期から、当社のサービス要求プロセスをDCIMソリューションに統合する必要性を認識していました。そこでラリタンの開発部門にヘルプをお願いした次第なのですが、早速動いてくださって、当社のLANDeskに限らず、他のサービス要求システムとも併用できるWebサービスAPIを作成してくれました。

「ラリタンを選んだ理由のひとつに、DCIMを導入する過程において、ラリタンのどの担当者の方もシャンズと真のパートナーになることを望んでくださっていたからです」
ジョセフ・キーナ
シャンズ・ヘルスケア データセンター運用管理者
統合プロセスはどのように進んでいますか?

当社では現在、チケット発行からデータセンターの機器配備まで、シームレスなワークフロープロセスを採用しています。リクエストがサービスデスクに入ってくると、そのリクエストをdcTrackに入力します。すると、スペースや電力、ネットワーク接続状況といった情報をベースにdcTrackの検索システムがサーバー配置に最適なロケーションを探し出してくれるという仕組みです。dcTrackはプロセスのあらゆる段階で我々を先導し、新しいサーバー要求を完璧に満たしてくれます。IT機器が納品されると物理的なラック構成や接続、ラベリングといった作業を行い、その後、dcTrackに戻ってリクエスト完了となり、LANDeskに当該機器の準備完了が通知されます。このプロセスのおかげで追加、変更管理が容易になり、資産インベントリの正確性も向上しました。

他にも機能をリクエストされたということでしたが。

そのほかの大きなリクエストとして、ラリタンは当社のネットワークチームにとって重要であり、さまざまな媒体をトレースできるエンド・ツー・エンドの接続を実現してほしいとお願いしました。

今日のデータセンターは伝送方法も変化してきています。多くのデータセンターでは銅線からファイバーに切り替わりました。ですからカッパースイッチからファイバーにトレースバックできる機能、パッチパネルを介してコアルーターにトレースバックできる機能が重要なのですが、その機能を備えて登場したのがdcTrack 2.6だったのです。

dcTrackのインテリジェントな接続管理性能により、ネットワーク・電力双方の接続状況をより効率的に管理できるようになりました。エンド・ツー・エンドの接続状況がわかりやすく表示され、未使用の電力容量を特定して活用することで、設備投資コストや運用コストの削減につながっています。

dcTrackを使っているのはチームのどなたでしょうか?また、普段の活用法をお聞かせください

データセンターのチーム全体でdcTrackを使っています。私はプロジェクトの進捗状況をチェックする監視ツールとして活用しています。ですから私の場合、ゲートキーパーとして設定しました。今、何が起きているのか、各リクエストがどの段階にあるのかといったことをdcTrackを使って確認しています。

dcTrackのワークフローや変更管理機能は、日常の移動、追加、変更作業をサポートしてくれます。

dcTrackの「キャパシティ検索、予約、配置」機能は今後よく使うことになるのではないでしょうか。シャンズではキャパシティプランニングや予約用のツール、特にキャパシティ予約ツールはよく利用されていますね。この予約機能はキャパシティを監視するのに大変便利で、誰かがあるプロジェクトが始まったと思ったらすかさずdcTrackのリソースにプレースホルダーを置くことができます。将来のプロジェクトのためにスペースを検索し、予約できるというのは非常に助かりますね。

ヘルスケア業界では、IT資産追跡に関する規制はありますか?

規制当局の中には、アプリケーションがどこに装備されているか把握したがっているところもあります。ですからdcTrackを使って、アプリケーションと物理あるいは仮想サーバーを結びつけることができる機能―これは我々にとって第5段階となるわけですが― が今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。dcTrackがあれば、どこに情報を保管し、それらの情報を保護する物理的なセキュリティはどうなっているのか確認したいとする当局に対し、必要に応じて迅速なレスポンスができるのではないかと思っています。

dcTrackを導入してみて、どのような効果がありますか?

今後に向けて、我々には多くの目標があります。まずひとつはPUE、電力使用効率の算出ですね。dcTrackには電力がどのサーバーやアプリケーションに使用されているのか記録できる機能もありますので、必ず役立つものと期待しています。

さらにdcTrackには、キャパシティプランニングやレポート機能も付いているので、容量不足が懸念される状況を正確に予測できるのではないかと思っています。そうした予測があれば、サーバー担当やストレージ担当がそれぞれの容量を注視しながら計画を進めることができます。また、電力、スペース、冷却といった容量データをより流動的かつリアルタイムで把握できるので、「今の状況はこうです」あるいは「今はこういう傾向にあります」などと説明しながら、経営陣に定期的に情報を提供することができます。

まず、ラリタンのトレーニングスタッフがdcTrack製品を使ってオンサイトの体験トレーニングを実施してくれました。これは貴重な経験でしたね。
ジョセフ・キーナ
シャンズ・ヘルスケア データセンター運用管理者

dcTrackは、サーバーやサーバーをサポートするインフラの位置を正確に教えてくれるため、サーバーの移動、追加、変更作業がより効率的にできるようになりました。

dcTrackは、トラブルシューティングや問題の発生の回避といった点でも有効だと思います。パワーチェーンやデータネットワークチェーンにおいて物理的なトレース情報を提供し、その物理的な接続状況を把握できるdcTrackなら復旧時間も短縮できるのではないでしょうか。また、特定のアプリケーションに対応するあらゆるIT機器の確認ができる点も貴重ですね。接続に問題があったり、特定のアプリケーションが正常に機能しないといった過去のイベントから、共通のエレメントがあるかどうかを把握できると思います。あらゆる接続状況や過去のイベントの記録といったデータが明確に示されることにより、物理的な視点から考えられる原因を探っているスタッフに正しい方向を指し示すことができると思っています。

他に何か付け加えたいことはありますか?

シャンズはベンダーとの連携を非常に大切にしています。ラリタンとは真のパートナーシップを築いてきました。このパートナーシップには二通りの意味があります。つまり、私たち両者がより強力に前進できる関係が大切なのです。

お客様

シャンズ・ヘルスケアは、フロリダ大学ヘルスサイエンスセンター系列の大手ヘルスシステムとして米国南東部の地域社会を支え、10,000人を超える従業員を雇用している。シャンズは医大付属病院を主体に、専門病院、外来患者用リハビリテーションセンター、在宅ケア組織、米国初の小児専用救命救急室(ER)をはじめとする救命救急室(ER)で構成されている。

また、シャンズ傘下には、州指定のレベルI トラウマ(外傷)センターや緊急空地輸送プログラムがある。

導入目的

シャンズのITチームは、最適なサービスをユーザーに提供するだけでなく、ITリソースを効果的に活用したいと考えていた。

フロリダ州ゲインズビルに拠点を置くシャンズのITチームは、新たに増設されたデータセンター3施設の管理も任されることになり、各データセンターに何の機器があり、個々のサーバーやUPS、デバイスがどこに配置され、何に接続されているのかを正確に把握できる新たなツールを探していた。

IT資産を追跡する従来の方法であるExcelのスプレッドシートとVisioのフロアプランは、増設により範囲が拡大した複数のリモートデータセンターをサポートするにも、また、事業の拡大に伴うIT需要の増大に対応するにもフレキシビリティにも欠けていた。そのため、ITチームは資産やキャパシティをより効率的に追跡できる優れた方法を探していた。

さらにITチームは、データセンター全体の省電力化を促進するソリューションも探していた。そうしてたどり着いた答えが、IT資産、ラックスペース、サーバーへの電力供給やサーバー環境の冷却に使用する電力といったデータセンターのリソースを管理するDCIMソフトウェア dcTrackだった。

導入ソリューション

IT資産、ラックスペース、サーバーへの電力供給やサーバー環境の冷却に使用する電力といったデータセンターのリソースを管理するDCIMソフトウェア dcTrack

導入効果
  • データセンターへのdcTrackの導入により、資産追跡の効率が50%も向上するなど、大幅な効率アップを実現した。
  • 機器の追加や変更をする際、dcTrackのダッシュボードをクリックするだけで、利用可能なスペースや電力、ネットワーク接続を簡単に見つけることができるようになった。
  • インテリジェントなキャパシティ、変更、資産管理機能により、活動の見通しを立てやすくなった。

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