電子コネクターの世界的大手企業、リモート管理・制御の導入でデータセンターのパフォーマンスを改善

概要

世界最大手の電子コネクターメーカーに数えられるMolexの製品は、誰にとっても身近なものに広く使われている。同社の先進的な製品は、携帯電話、カメラ、スキャナー、プリンター、DVDプレイヤー、自動車、コンピューター、テレビなどの家電製品の部品として世界各国の大手メーカーに採用されている。

端子・コネクター・フラットケーブル・ケーブルアセンブリ・相互接続システム・バックプレーン・統合製品・メカニカルスイッチ・電子スイッチなど、同社が多様な産業向けに設計・製造・販売する製品はのべ10万点以上に及ぶ。

課題

シンガポールにあるMolexのアジア太平洋地域本部のデータセンターは、地域全体へのITサービスを提供している。メールサービス、アジア太平洋全域をカバーするWLANの認証、インターネットおよびVPNへのアクセスといったミッションクリティカルなアプリケーションを支援しており、仮想サーバーを含むサーバーは50台以上、スイッチは約10台が稼働している。

このデータセンターでは、需要の動向に応えるため、新たなIT管理ツールを必要としていた。これまで使用していた旧型のKVMスイッチでは、対応できるサーバー数が限られていたことや、リモートアクセスをはじめとしてIT管理に必須となっている重要機能が利用できなかったことなどから、切り替えが必要とITチームは考えていた。MolexのITチームは、IPネットワークを介してサーバーにリモートアクセスできる各社のKVM-over-IPソリューションを評価検討する作業を開始した。

Molexのソリューション要件

KVM-over-IPスイッチに接続するサーバーやデバイスにVPN経由で接続する場合の十分な応答速度
接続するデバイスのオンオフをリモートで切り替えできる機能
KVMポートを持たないスイッチやルーターなどの製品をリモートで制御できるシリアルコンソール
Active Directory®認証を使ってKVM-over-IPスイッチにサインオンできる機能、既存のActive Directoryユーザープロファイルに基づいて接続デバイスへのアクセスレベルが複数使い分けられる機能
KVM業界の大手企業が開発した定評あるテクノロジー
競争力のある価格設定

「さまざまなベンダーが提供するKVM-over-IP製品について、それぞれの長所と短所を比較するとともに当社の要件にどこまで応えているかを検討した結果、ラリタンを選んだ。」（Molexシンガポールの地域インフラストラクチャマネージャー、Daniel Ong氏）

Molexは、ラリタンのDominion KX II KVM-over-IPスイッチ、Dominion SXシリアルサーバーコンソール、デバイスの電源オンオフをリモートで切り替えられるDominion PXインテリジェントラックPDUといったリモートアクセス/コントロールソリューションを組み合わせたインフラストラクチャに統一することを決定した。インテリジェントPDUには、接続されている機器の電源情報をモニタリングできる機能もある。

Molexシンガポールの地域インフラストラクチャマネージャー、Daniel Ong氏 

各ソリューションの機能

Ong氏は、「ラリタンが提案したDominion KX II、SX、PXを組み合わせたソリューションは、当社の要件すべてに応えるものだった。データセンターのすべてのサーバーに、どこからでもWebブラウザーを使ってBIOSレベルでのアクセスと制御が可能になった」と言う。

ラリタンのソリューションを使って、MolexのIT管理者チームはさまざまな場所からさまざまなタイプのサーバーやデバイスを安全・同時に制御することができる。接続されているすべてのデータセンター機器の状態は、ダッシュボードから一目で確認できる。この地域のＩＴインフラストラクチャとアプリケーションのサポートを担当する同チームは、ラリタンのソリューションを使ってデータセンター外部のワークステーションやVPNからサーバーにアクセスする。

「ラリタンのソリューションはMolexのデータセンタースタッフの業務プロセスを合理化してシステムの可用性を保証するのに役立っている。」
Daniel Ong
Regional Infrastructure Manager, Molex-Singapore

Dominion KX IIおよびSXはわずか数分で設置が完了するプラグアンドプレイ方式のアプライアンスで、認証やWebアクセスといった主な機能はすべてプリインストールされている。KX IIではBIOSレベルのアクセスが可能なので、サーバーのOSやネットワークインターフェイスカードに不具合があってもサーバーにアクセスできる。Dominion SXは、WebブラウザーまたはSSH/Telnet接続を使うことで、いつどこからでもアウトオブバンドのシリアルコントロールが可能になる。

KX IIとSXはさらに、デバイスへの常時アクセスを保証するためLANと電源を二重化しているほか、緊急ダイヤルアップアクセスに対応する専用モデムポートを備えている。
Dominionのソリューションで、サービスに影響を及ぼす恐れのある問題にITチームが迅速に対応できるようになった。また、個別のサーバーまで直接足を運ぶ必要がなくなって生産性が向上した。従来は、勤務時間外にサーバーのOSやネットワークカードに障害が発生すると、IT技術者が現場まで駆けつけて対応しなければならなかったため、ダウンタイムによる影響や、時間外手当、移動に要する経費などが発生していた。

「VPN接続で物理サーバー上のOS設定ができることは、KVM-over-IPソリューションの大きなメリット。また、接続されたデバイスのコンソール画面がリモートアクセスで閲覧できる機能は、現在各機器がどんな運用状態かを確認できる代替手段となっている。」

Molexの管理者は、ソフトウェアのインストール、ハードウェアの診断プログラムの実行、リモートサーバーのファイル転送などに役立つDominion KX IIのUniversal Virtual MediaTM（仮想メディア）も日常的に利用している。
サーバーを不正アクセスから守るため、Dominionにはビルドイン認証機能、サーバー監査ログ、トラッキングレポートなど複数のセキュリティ機能が用意されている。また、リモート管理機能があることで、担当者が保守・管理作業のためデータセンターに入室する必要性がなくなった。IT機器は完全自動化・施錠された安全なデータセンターで運用されるが、許可を受けた担当者はKVM-over-IPネットワークを使ってアクセスできる。

「接続したIT機器・スイッチ・サーバーの電源をオンにしたりオフにしたりという簡単な操作も、これまで管理者がオンサイトで行うことが必要だったが、それがリモートで可能になったことは大きい。」

導入効果

Ong氏は、「ラリタンのソリューションはMolexのデータセンタースタッフの業務プロセスを合理化してシステムの可用性を保証するのに役立っている。簡単なアクセスでBIOSレベルのコントロールが可能になったこと、リモートサーバーのドライブに仮想メディアを利用してアクセスできることなど、ラリタンの製品はソフトウェアのインストール、パッチ管理、トラブルシューティング、ネットワークカードの設定変更といった管理タスクの合理化に役立っている」と話す。

「Molexの管理スタッフはデータセンターの外にいながら、あたかもそれぞれのラック前で作業しているような感覚でIT機器のトラブルシューティングや保守、リブートなどにあたることができる。ラリタンのソリューションを導入したことで、さまざまな問題に即応できるようになっただけでなく、従来以上に予防的メンテナンスに力を注ぐことが可能になった。

ITスタッフにとって、ラリタンのソリューションは接続するデバイスへの効率的で確実なアクセスを可能にしてくれた。Webベースのリモートアクセスで、ITスタッフの専門的スキルをどこからでも生かせる環境が整った。ラリタンのリモート管理ソリューションは、スタッフがサポートリクエストに対応する作業も効率化して必要な時間を短縮した。

PXに接続されたデバイスの電源オンオフをKX IIを使ってどこからでも切り替えられる機能も有益であり、今後ますます活用していきたい。」