日本最大規模のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社。月間平均総ページビュー(PV)数は700億に達しており、膨大なアクセスを受け入れるためのインフラ運用にも、効率化に向けたさまざまな施策が展開されている。こうした施策のひとつとして、2016年12月より採用されたのがラリタン製のKVM-over-IP製品だ。その導入経緯や具体的なメリットなどについて、ヤフー株式会社 システム統括本部 サイトオペレーション本部 インフラ技術2部 DC運用技術リーダーの秋山 潤氏、同社 システム統括本部 サイトオペレーション本部 インフラ技術2部 DC運用技術の柿崎 悟氏に話を伺った。
秋山氏および柿崎氏が所属するDC運用チームは、Yahoo! JAPANが保有するデータセンターにおいてインフラ運用全般を手掛ける、極めて重要な役割を担う部署だ。そんなDC運用チームがここ数年で抱えていた課題のひとつに、社内ニーズを満たしきれないKVMスイッチの存在があったという。
同社にとってKVMスイッチは、遠隔地のデータセンターにあるWindowsサーバやVMwareなどのトラブルシューティング業務を行ううえで必須のシステムだ。秋山氏はこの課題について「従来使用していたKVMスイッチは、Internet ExplorerとJavaを利用するシステムでしたが、Javaはセキュリティの観点から不安材料となります。また、社内のセキュリティ規定上Javaのインストールが許可できない端末があるのですが、そういった端末からもKVMを利用したいとの要望に応えることができませんでした。それに加え、レスポンスの遅さが気になること、Windows端末からしかアクセスできなかったのも大きな問題でした」と語る。
同社では働き方改革の一環として2014年より、月2回を上限にオフィス外の好きな場所で仕事ができる「どこでもオフィ ス」制度を導入している。こうした背景から支給端末の多くがデスクトップPCからノートPCへと切り替えられたが、その際にMacを選ぶエンジニアが増加。結果として約半数がMacでの作業環境に変わっていたという。しかし、従来のKVMスイッチはWindows端末からのアクセスに限定されていたため、実際に「Macからもアクセスできるようにならないか」という声が多くなっていたそうだ。
こうした課題を解決するべく、DC運用チームでは2016年5月より新たなKVM製品の選定を開始した。
「選定にあたってはJava不要で使えることに加えて、社内ニーズを満たすMacからの利用が可能なマルチOS対応のKVM製品を最優先しました。あとはKVMスイッチとして必須となる、BIOSレベルのリモートアクセスや仮想メディア対応ですね」と柿崎氏は選定条件について語る。
こうした選定条件にもっとも適していたのが、ラリタンのKVM-over-IPスイッチ「Dominion KX III」だったそうだ。
「Dominion KX IIIは、Java不要でMacからも使えるという弊社のニーズを満たし、なおかつエンタープライズ用途に適したパフォーマンスを有する、まさに理想的なKVM-over-IPスイッチでした。また、弊社では2014年からラリタンのインテリジェントPDUを使い続けており、これまでトラブルなく運用できているという実績からも、品質面での大きな安心感がありましたね」と秋山氏は語る。
こうして同社では、約2週間かけて社内検証を実施。そして2016年12月に、Dominion KX III、および、BIOSレベルのリモートアクセスや仮想メディア対応したコンピュータ・インターフェース・モジュール(CIM)を正式導入したのである。
Dominion KX III導入後の効果について、秋山氏は「従来のKVMスイッチではマウスやキーボードの入力に対する動きがワンテンポ遅れていて、作業をするうえでかなりのストレスとなっていました。しかしDominion KX IIIの導入後は、まるでローカルで作業しているかのような圧倒的レスポンス で、運用効率が大幅にアップしましたね。体感的に2~3割は作業スピードが速くなった気がします。手元にあるメディアのデータやISOファイルをすぐリモート上のサーバへマウントできるのも便利ですね」と笑顔をみせる。
実際の導入作業も非常にスムーズで、柿崎氏は「インテリジェントPDUでも感じましたが、優れたUIで直感的に操作できるのはうれしい限りです。事前のトレーニングが不要なだけでなく、操作に関するユーザーからの問い合わせもまったくありませんでした」と、ラリタン製品のメリットを語る。
また、迅速かつ的確なサポートもラリタン製品の大きな魅力だという。秋山氏は「当初はラックマウント型サーバのみでの利用を想定していましたが、他部署からデータセンター内のMacでもKVMを利用したいという連絡を受けました。しかし、Macで利用するには当初購入したものとは別のCIMが必要になります。そこでラリタンに相談したところ、すぐにCIMを貸し出していただき、導入検証が済ませられました。サーバの運用・管理はミッションクリティカルであるため、いざという時に頼れるサポートがあるのはたいへん助かります」と語る。
こうしてDominion KX IIIの導入により、理想的なサーバの運用・管理環境を実現した同社。最後に秋山氏は「弊社では今後もビジネスの拡大に応じて、データセンターの新設を予定しています。そこではインテリジェントPDUやKVM-over-IPスイッチだけでなく、高性能かつ信頼性の高いさまざまなラリタン製品が活躍してくれるはずです。これからもすばらしい製品とサポートに期待しています」と、今後の展開について語ってくれた。
従来のKVMスイッチではJavaを利用するためセキュリティ面で懸念
MacユーザからKVMスイッチが
利用できない
マウスやキーボードのレスポンスが
遅い
Java不要でMacからもアクセス可能
BIOSレベルのリモートアクセスおよび
仮想メディア対応
エンタープライズ向けに適した
パフォーマンス
インテリジェントPDU導入時の実績と
サポート力
Java不要でセキュリティの課題を解決
Macユーザからのアクセスを実現
直観的なインタフェースで事前
トレーニングが不要に
圧倒的なレスポンスで運用効率が
大幅アップ