ダブル・アイ・テー・ジャパン株式会社

データセンタの省エネ・環境対策の第一歩は、現状の正しい把握にあるという観点から、最近はラック内機器の電力使用量の計測や管理効率化のためにインテリジェントPDUの導入が進んでいる。データセンタのファシリティ監視システムを提供しているダブル・アイ・テー・ジャパン株式会社様では、顧客の要望に応じてインテリジェントPDUとデータセンタのビル管理システム(BMS)とを連携させ、BMS側からIT機器も含めたデータセンタ全体の電力見える化を実現させた。

インテリジェントPDUに高い関心

    ダブル・アイ・テー・ジャパン<br />    取締役 法人営業部部長<br />    中村真樹氏

ダブル・アイ・テー・ジャパン株式会社(以下、WIT)は、地球にやさしいIT環境作りをテーマに掲げ、データセンタの安全、信頼、高効率化を実現するための空調省電力装置や遠隔監視システムといった様々なデータセンタのファシリティサービスを提供している。データセンタのTier4準拠(米国の金融機関が採用するレベル)を目指したコンサルティングや顧客の要望に応じた製品開発なども手掛け、日本有数のデータセンタ事業者を顧客に抱える。

昨年10月、ある顧客のデータセンタ構築にあたって、WITは電源監視や温度監視、さらには各種警報や状態監視も含むデータセンタの監視システムの構築を担うこととなった。そんな中、同社取締役 法人営業部部長の中村真樹氏は、顧客の担当者と共にデータセンタ専門のセミナーを訪れ、そこでラリタンのインテリジェントPDU PX2シリーズや電力管理ソフトウェア Power IQを目にした。アウトレットごとの消費電力計測機能や管理画面のインタフェースの完成度の高さに強い関心を持ったという。中村氏は次のように語る。
「お客様はIT機器1台1台の電力情報がとれるPX2シリーズを気に入って、『BMSシステムと連携できないか』と私に尋ねてきました。その場ではラリタンの方と名刺交換だけして、後日『インテリジェントPDUを使ってサーバの負荷を細かく計測したい』というお客様の意向で、改めて一緒にラリタンと打ち合わせを設けました」。

情報の開示が開発のカギ

やりたいことがPX2シリーズでできることがわかったので、あとはBMSでデータ収集ができるかどうかが導入のカギとなる。PX2シリーズはSNMPプロトコルを採用していることから、他機器とネットワークを介して情報をやりとりできるのがひとつの特長だが、WITがメインで使っているサーバルーム監視システムツールはSNMPとの連携実績がなく、PX2シリーズをシステムに組み込むことは大きなチャレンジだった。

ダブル・アイ・テー・ジャパン<br />法人営業部マネージャー<br />大平巌氏

「電流監視は監視分野でも遅れているというわけではありませんが、顧客ごとの細かい要求仕様に合わせるにはかなり難しい分野ではありました。なぜかと言いますと、今までは分電盤からCTセンサ(電流センサ)をかけて電流を計測するのですが、それだとラック単位でしかとれない。そこから先のラック内の機器との紐付けが難しかったのです。お客様から、どこのラックがどのように負荷の変動しているのかわかることが非常に重要だということで、少なくてもインレット単位、できればアウトレット単位で、ということでラリタンのインテリジェントPDUにチャレンジしました」と同社法人営業部マネージャーの大平巌氏は語る。

さらに、「当社で使用しているBMSと組み合わせる点においては、うまくシステムを作れるかどうかはメーカーからどれくらい情報を開示してもらえるかにかかっています。ラリタンには、貸出機からMIBのOIDまで、あらゆる情報を開示してもらえたというのが大きかったです。システム構築もスムーズで、組み込みのデモ環境をすぐ見たいというお客様の要望に対し、迅速に環境を構築できたことも大きかった。お客様もそれで安心されたようです」
今回のプロジェクトでは、電源の監視とともに、温度監視用のセンサもラック周りに取り付けたそうだ。「リーズナブルな値段、プラグインで使える便利さがいい」とそのメリットを挙げる。
「ビル管理システムでセンサと言えば、ボックス型の温湿度センサで、電源が要ります。配線するのにねじ止めしないといけないので大変です。その点ラリタンのセンサは、プラグアンドプレイでハブに差すだけですし、余長もあるので扱いが非常に楽でした。ただ、付けられる所がラックに密着してしまうので、場所を選ばないといけないですね。アタッチメントでちょっと張りだした所に付けられるといいかもしれません」
インテリジェントPDUや環境監視を監視システムに組み込んだ管理インタフェースや構成図は下記の通りだ。

機器ごとの電流やラック周りの温度を、サーバルーム監視システム上で表示   インテリジェントPDUとBMSとのシステム連携構成図

ビル監視とインテリジェントPDUの連携で感じたこと

ビル監視の世界ではModbus、LONWORKS、BACnetといったプロトコルが主流で、SNMPは実績が少ないと中村氏は言う。
「BMSは、全情報を中央に集め、そこで判断しますが、SNMPはエージェントありきで考え方が違います。さらに、BMSはリアルタイムには強いのですが、SNMPでは計測についてはBMSほどリアルタイム性を追究されていないことが多い。今回のプロジェクトでは、ポーリングの周期を30秒に1周期と安全なラインで設計しました」。
とはいえ、PX2シリーズとBMSとを連携させたことに手ごたえはあったようだ。
「BMSでのSNMP対応は、日本では事例が非常に少ないと思います。そこにチャレンジできたのは我々としても今後のデータセンタインフラ管理(DCIM)を提案していく上で非常に意味がありました」と大平氏は語る。

DCIMへの取り組み

DCIMはBMS側で計測していた設備情報とIT機器の運用・ネットワークの状態などを統合的に監視・制御するシステムで、省エネかつ効率的なデータセンタ運用を支援するソリューションとして注目を集めている。
「BMSとDCIMは、ちょっと違う部分がずっとついてまわるように思います。理想としては、例えばラリタンのDCIMツールであるdcTrack(日本発売予定)とBMSの二つが並存してうまくデータの住み分けができれば一番いいと思っております。何百回路のコンセント単位のデータをとるにはSNMPを使ってDCIM側で、インテリジェントPDU全体の電力やその上にぶらさがるバスダクトのプラグインといったある程度数が限られていてビル寄りのところはBMS側で監視するという住み分けになるのではないでしょうか」。
大平氏が続ける。
「DCIM側で空調や設備の情報をトータルで取得することは今は難しいので、BMS側でSNMPに対応したほうがいい。インテリジェントPDUの情報をBMSで監視するという状況がしばらく続くと思われます」。

ラリタンのインテリジェントPDUは、正確な電力情報を把握するのに必要なツールと語る中村氏と大平氏。今回の試みを機に、データセンタのエンジニアリングをさらに強化していくとのことだ。

連携目的
  • モジュール型データセンタ内のIT機器の消費電力・ラック周囲温度・湿度の計測
連携ソリューション
  • PX2シリーズとBMSシステム
連携効果
  • サーバ1台1台の負荷状況をBMSから統合管理
  • ラック周囲の温度・湿度を計測して冷却効率を向上

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