Raycom - 導入事例 - リソース

ラリタンのリモートアクセス・電源管理ソリューションを活用し、市場ニーズに合わせた放送番組を提供するレイコム・メディア

「ドクター・フィル(Dr. Phil)」やドクター・オズ・ショー(Dr. Oz Show)」といった人気番組はもちろんのこと、レイコム・メディアのオペレーターは市場ニーズに合わせた24時間体制のテレビ番組を全米のテレビ局に提供することに注力してきた。速いテンポで展開するテレビ業界においてレイコムは常に、放送機材の管理や維持のあり方や、時間的制約のあるコンテンツをテレビ局に配信し、ボリュームが増え続ける番組表に組み込む方法など、運営コストを削減しながら改善できる余地はないか模索してきた。

レイコム・メディアはテレビ局46社を36地域で直営し、全米の視聴総世帯の12%をカバーする全米でも最大規模を誇る放送会社だ。加盟局にはNBC、CBS、ABCやFOXといった4大ネットワークも含まれる。まさに中身の濃い放送をコントロールしながら、各放送局の地域やネットワークに特化した番組表を制作し、配信するのがレイコムのオペレーターの仕事である。

レイコムは他社に先駆け、オペレーターを各局に配置するのではなく、中心拠点に配置するという新たなアプローチを展開してきた。その中心拠点、ノースカロライナ州シャーロットにあるネットワーク・オペレーションズ・センター(NOC)では、各局の番組表をリモート制御、管理し、放送番組やコマーシャルを1日24時間体制でモニタリングしている。

「シャーロット・ネットワーク・オペレーションズ・センターでは、当社のすべての放送局を集中制御しています」とレイコム・メディアのエンジニアリングおよびデザイン部門ディレクター、マーク・ウィレット氏は説明する。「もう当社では各テレビ局にオペレーターを置くことはせず、その代わりここシャーロットで1人のオペレーターが複数の局を制御しているのです」

「番組やコマーシャルが確実に放映されるようにするのがオペレーターの仕事です」とレイコム・メディアの中央放送センター(CBC)のゼネラルマネージャー、デリック・クレスフィールド氏は語る。「番組変更があったり、地域やネットワークの緊急速報が入ってきた場合など、ここから各局用に放映するのもオペレーターが担当します」

レイコム・メディアが他社製品からラリタン製品に変更したのは、先進かつ可用性の高いアクセス制御ソリューションで、シャーロットNOCと各地域にあるリモート局の運営環境をより向上させたいという理由からだった。そしてそのソリューションは、24時間365日体制の運営やあらゆる番組構成フォーマットをサポートすると同時に、米連邦通信委員会(FCC)の放送監視基準を満たしている必要があった。

リモートのテレビ局を支える、レイコムの革新的な放送オペレーションセンター

運営コストを削減するという目標を掲げつつ、各テレビ局を24時間365日体制でサポートするレイコムは、ハブ・アンド・スポークのNOCの確立に着手。このハブ・アンド・スポーク方式は、オペレーターがシャーロットにある放送局WBTVをハブ拠点として米国南東部全域に分散する複数のリモート局を支えるという図式だ。この動きにより、収益向上やより効果的な番組管理や配信の実現が期待されている。

このアプローチを他社に先駆けて導入したレイコムは、ハブ局から遠く離れた各局のコンテンツや機器を管理できる、セキュアで信頼性の高いリモートアクセス制御ソリューションを必要としていた。

そこでマーク・ウィレット氏は、10年ほど前に彼がアトランタで手がけた別件の担当者だったラリタンの米国南東地域担当セールスマネージャー、ジョー・バレーに連絡をとった。「革新的なリモートアクセス技術で確固たる歴史を築いてきたラリタンさんにぜひお願いしたいと思いました」とウィレット氏は当時の思いをそう語る。「リモートアクセス全体を通じてより効率的な運営を実現したいという当社の求めに応じ、ニーズに合わせた柔軟なソリューションを提供できるのが真のパートナーだとわかっていましたので」

ひとつの設計基準として、SDやHD、イーサネットなど、複数の放送技術に対応できるアクセスおよび制御ソリューションである必要があった。さらに編集、レコーディング、放送機材やサーバーといったさまざまな機器を制御できるソリューションであることも必要だった。

「他社ベンダーのソリューションではなく、ラリタンのスイッチを選んだのは、パフォーマンス低下の原因ともなる、主要機器に新たなソフトウェアをロードする必要がなかったという理由もありました」
マーク・ウィレット
レイコム・メディア エンジニアリングおよびデザイン部門ディレクター

レイコムが選んだのは、複数のユーザーがきわめてセキュアなアウトオブバンドのネットワークを介してリモートの機器にアクセスできるラリタンのKVM-over-IPスイッチ、Dominion KX IIシリーズだった。暗号化されたキーボード、ビデオ、マウス信号をIPネットワーク経由で送信することでこのような高度なアクセスが可能となっているのだ。導入した結果、オペレーターやエンジニアはWebベースのダッシュボードを使ってどこからでも任意の機器にアクセスできるようになったほか、マシンの切替も可能になった。レイコムはさらに、シリアル管理の機器へのセキュアなコンソールアクセスを提供するラリタンのDominion SXソリューションも選択した。

放送番組の配信やモニタリングはDominion KX IIにとっては新たなアプリケーションだったため、レイコムとラリタンのテクニカルチームは、KX IIスイッチにマイナーな修正を行ったり、T1通信に対応できるスイッチ設定にする必要があった。

「他社ベンダーのソリューションではなく、ラリタンのスイッチを選んだのは、パフォーマンス低下の原因ともなる、主要機器に新たなソフトウェアをロードする必要がなかったという理由もありました」とウィレット氏は語る。

今日もDominion KX IIスイッチは休むことなく、レイコムのNOCを拠点に大量の情報を送受信している。オペレーターはそれらの情報を巧みに扱いながらリモート局の放送を支えている。例えばCBCのオペレーターは局の番組編成を修正し、リモート局のアラームに応答し、ストリーミングCPUへの冗長アクセスを提供する。これらはいずれもリモート局の放送に欠かせない作業だ。「我々が使っているのはラリタンのDominion KX IIの4ユーザー用16サーバーポートモデルですが、それを機材に接続し、24時間365日体制で配信しています」とクレスフィールド氏は語る。「KX IIは決してシャットダウンしないので、継続して作動させられます」

レイコムのエンジニアは、ブラウザベースの管理ダッシュボード「KX II Virtual KVM Desktop」を使って番組コンテンツを管理している。ダッシュボードには
システムステータスが一覧表示され、番組や機械室の機器を簡単に管理することができる。オペレーターはシングルサインオンで、いつでもどこからでも任意の放送インフラにアクセスできるようになっている。

レイコムNOCのオペレーターたちに人気の機能が、Dominionに搭載され、マウス設定を変えることなく完璧なマウス同期を実現する「ずれないマウス」機能だ。「KX II の同期化により、ひんぱんに設定を変更し直す必要もなくオペレーションを実行できます」とウィレット氏は語る。「我々にとって同期化は非常に重要なポイントですね」

ダッシュボードの表示もわかりやすいDominion KX IIは、ビデオ解像度フルHD1920 x 1080をはじめ、1680 x 1050といったワイドスクリーンのフォーマットにも対応している。

仮想プレゼンス

番組コンテンツの管理やローカルテレビ局への配信に加え、Dominion KXスイッチはリモート機器も管理する。KXを導入する以前は、どこかの局で機器に問題が発生すると
たいてい、ハブ局からその局まで技術者が車を長時間運転して出向かなければならなかった。

「今はすべての局に仮想プレゼンスがあるので、そういうこともなくなりました」とクレスフィールド氏は語る。レイコムでは全局ともオフピークの時間帯を利用し、本社に勤務するエンジニアたちの専門知識を活用している。それにより、誰かを現地に派遣するコストが節約でき、ダウンタイムも大幅に削減されたという。

レイコムの業務ニーズを支援するため、Dominion’s KX IIでは冗長性に優れたアウトオブバンドのネットワークや自動フェイルオーバー機能を備えた二重化電源、二重化ギガビットEthernetポートによる高可用性アクセスを提供している。さらにDominion KX IIでは、接続された機器をリモートからパワーサイクル(電源遮断と再投入)を行うことも可能だ。例えば、あるテレビ局のコンピューターの電源を切らなければならない場合、Dominion KX II ならリモートからコンピューターのパワーサイクルを実行できるということだ。

「当社のデバイスには正確にはコンピューターでないものもあり、KX IIのキーボードストロークのリブート指示に従わないことがあります」とウィレット氏は語る。レイコムではそうした非コンピューター機器にはラリタンのインテリジェントラックPDUを使い、リモート機器のパワーサイクルを行っているという。

「電話すれば来てくれて、問題を修復してくれる人材はいるのですが、ラリタンなら冗長化機能も内蔵されていますので」とウィレット氏は語る。「停電やコンピューターがロックアップしてしまった場合に備え、KX IIやPXにはバックアップソリューションがあります。必要時、誰かがそこに行くまで動作が維持できるようになっています。そのような状況においてパワーサイクル機能は非常に効率的な方法です」
「特に朝の3時などはそうですよね」

ラリタンのKVM-over-IPスイッチDominion KX IIとインテリジェントPDUのPXにはいずれも、マルチファクタ認証をはじめとするセキュリティ機能が内蔵されている。認証されていないアクセスから保護するため、256ビットAESや128ビットRC4暗号化を提供、さらに強力なパスワード設定やグループ単位でのアクセス権限も標準装備されている。Dominion KX II、PXともに、スタンドアロンモードのセキュアな動作でローカル認証に対応するほか、RADIUS, LDAP、Active Directory®などの外部認証サービスへの統合も可能だ。また、レイコムのデジタル資産をシャーロットにある中央機械室で一括管理することにより、セキュリティも向上。権限を持つユーザーに対し、ユーザーが制御を許可された機器のみ提示される。

高視聴率

シャーロットにあるレイコムネットワークセンターのオペレーターは、今日もシャーロット、リッチモンド、バージニア、チャールストン、マートルビーチ、サウスカロライナの放送コンテンツを制御している。ソリューションの効果がさっそく現れたのを機に、他の加盟テレビ局にもソリューションを拡大し、各局の番組ニーズに合わせた独自のコンテンツを配信していく計画だ。LANやWANネットワークのアップグレードに伴い、他局へと広げていくという。

「ラリタンのソリューションは、一元管理やモデルの制御に不可欠な基幹技術なのです」とクレスフィールド氏は語る。「現行のモデルによって競争優位性がもたらされ、コスト削減にも役立っています」

「ラリタンのスイッチ類のパフォーマンスは非常に素晴らしいですね」とウィレット氏は付け加える。「ログオンするだけで仕事ができる。1人のオペレーターが4つの局を管理することも可能なので(放送チャンネルは計8局)、リソースを解放してビジネスを拡大するといった分野に集中させることもできます」

番組配信への新たなアプローチは、まさに放送業界が向かっているところにある。「投資回収は、3局も4局も抱えている会社にとっては非常に意味があること。今後は業界全体がそうした傾向へと向かっていくのではないでしょうか」とクレスフィールド氏は語ってくれた。

ユーザー

レイコム・メディア 全米最大規模の放送会社

導入目的
  • 運営コストの合理化を促進しつつ、テレビ局ネットワークに番組コンテンツをより効率的に配信したい
  • 機械室のコンピューターやリモート局の放送機材の制御・管理を簡素化したい
導入ソリューション
  • リモート機器管理用KVM-over-IPスイッチ Dominion® KX II-416およびセキュアなコンソールサーバー Dominion SX
  • Webベースでリモート電源管理を実現するラックPDU 8ポートDominion PX
導入効果
  • リモートのテレビ局でlights-out (完全自動)のオペレーションが可能に
  • 主要な放送機器へのセキュアでアウトオブバンドのアクセスが可能となり、局の管理が簡素化
  • オペレーターやエンジニアが自分のデスクトップからネットワーク上の任意のマシンにアクセスし、機器のシャットダウンや起動をリモートで実行できるようになったことで、問題が迅速に解決できるように

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