日本NCR株式会社 - 導入事例 - リソース

日本NCR株式会社

お客様をお待たせしないヘルプデスクサポートの実現に
ラリタンのKVM-over-IPスイッチを採用

     日本NCR株式会社

 セルフサービスによる顧客サービスの向上を目指して、ハードウェア、アプリケーション、コンサルティング、保守サポートサービスなど、総合的なサービスを提供する日本NCR 株式会社(以下、日本NCR)。1920年の設立以来、POSシステムやKIOSK端末の販売を中心に高品質なビジネスソリューションを提供し、日本の流通、金融業界のIT化に大きく貢献してきた。2003年には日本初のセルフレジを納入するなど、セルフサービス・ソリューションに注力。常に最先端のテクノロジーを駆使し、「企業と顧客の接点となる領域にイノベーションをもたらす」という企業姿勢のもと、新たな価値を提供している。ユーザ企業にヘルプデスクサービスを提供する同社カストマー・サービス本部では、ユーザ端末への「接続待ち」という課題を解決するために、KVM-over-IPスイッチのリプレースを選択した。

ヘルプデスク業務のシステム的な課題を KVM-over-IPスイッチの導入で解決

 日本NCRのカストマー・サービス本部は、ユーザ企業向けのヘルプデスクを提供する部門だ。サポートを行なうエージェント(対応スタッフ)は専門店チーム、百貨店チーム、量販店チームの3チームに分かれ、ユーザ企業の業務中に発生したトラブルに対応している。

 サポート対象は、同社が納入したPOSシステムやセルフレジなどの製品だけでなく、それに繋がるネットワーク、サーバー、クライアント製品なども含まれる。

 

カストマー・サービス本部<br />カストマー・ケア・センター<br />ヘルプデスク<br />担当マネージャー   筒井 太郎 氏
 カストマー・サービス本部では2008年、流通系ユーザ向けのヘルプデスク業務にラリタンのKVM-over-IPスイッチ「Dominion KX II-416 (以下、DKX2-416)」と、アクセス統合管理ツール「CommandCenter Secure Gateway(以下、CC-SG)」を導入した。

 

 ヘルプデスクと同じフロアに用意されたマシンルームには、ユーザ企業から提供された業務用PCが企業数分設置されており、それぞれがユーザ企業の業務ネットワークに接続している。エージェントは、この業務用PCを操作することでユーザが見ているのと同じ画面を確認しながら、障害の状況を把握して対処するというのが基本的な作業だ。当初は、エージェントのPCと業務用PCはセキュリティの観点から接続されておらず、エージェントがPHSを片手にデスクとマシンルームを走り回るという状況だった。

 「この走り回る状況を改善するために、ラリタンのKVMを導入しました」と語るのは、カストマー・サービス本部カストマー・ケア・センター ヘルプデスク担当マネージャーの筒井太郎氏。2008年に行ったDKX2-416×4台、 CC-SG E1×1台の導入により、デスクから業務用PCを操作できるリモート環境を構築し、エージェントはデスクでユーザ企業の業務用PCを操作することが可能となり、「走り回る状況」はなくなった。さらに、作業環境の改善、スペース効率の向上に加え、省電力化、セキュリティ向上というさまざまなメリットも同時に実現した。

「接続待ち」が新たな課題に KVMは再びラリタン製品を採用

 その後も、KVM環境は順調に稼働。しかし、時が経つにつれて状況が変化してきた。

 「DKX2-416は、1台あたり4人までしかログインができず、同時にお客様から受電している中で、別の者が接続していて接続できないという状況が多発するようになってきました」とカストマー・サービス本部カストマー・ケア・センター ヘルプデスクの野口哲良氏はいう。こうした状況に対し、日本NCRではDKX2-416を2台追加、アクセスログの管理や ActiveDirectoryと連動したアクセス制御を行うためのCC-SGも冗長化し、さらに、使用頻度などを分析して機器の接続を見直すなど、接続待ちを解消するために手を尽くしてきた。しかし、エージェントから毎日のように「接続待ちが起きています」という声を聞くようになると、システムのリプレースを決意せざるを得なくなった。

 

カストマー・サービス本部<br />カストマー・ケア・センター<br />ヘルプデスク<br />野口 哲良 氏<br /><br />
「KVM導入当時は、主にリテールシステムのヘルプデスクが対象業務のほぼすべてでした。その後、ファイナンスシステムのヘルプデスクも始め、さらに、マルチベンダーヘルプデスクという一環で、他社製のリテールシステムのヘルプデスクも開始しました。ヘルプデスクサービス対象が大幅に増えたことが接続待ち発生の大きな原因です」と、カストマー・サービス本部カストマー・ケア・センター ヘルプデスクの槻雅史氏。また、KVM導入によって向上したヘルプデスクの品質をさらに上げていきたい、お待たせする時間をさらに短くしたいという思いもあったと言う。

 

 DKX2-416の保守サポート切れを前に、リモート環境をリプレースすることを決定。2012年夏には機器の選定に入った。要件としては当然、接続待ちが起きないように可能接続数を増やすこと、これが第一であった。あわせて、前回の導入コストを超えないことも要件として含まれた。

 今回のリプレースについては他社のKVM製品は候補として挙がらなかったという。それは、「仕組みや操作感が変ってしまうと、エージェントの再教育なども必要となってしまいます。機器の入れ替えを行なっても操作感が変らないことを前提にした場合、再びラリタンの製品でということになりました」と野口氏。

 また、従来の環境のもとでのラリタンのサポート対応を評価していたということもあったという。「導入当初は色々ありましたが、その時のラリタンの親身な対応を高く評価しています。製品とサポートに信頼感、安心感がありました」と、当時の導入を指揮したカストマー・サービス本部カストマー・ケア・センター ヘルプデスクの犬童義幸氏は振り返る。

 

     カストマー・サービス本部<br />     カストマー・ケア・センター<br />     ヘルプデスク<br />     犬童 義幸 氏

 

従来のメリットはそのままに「接続待ち」はゼロに

 新たなKVMは「Dominion KX II-832 (以下、DKX2-832)」を4台と決定。あわせて、CC-SGもE1からV1を2台のクラスタ構成に変更した。

 DKX2-832は同時アクセスユーザ数が8、ポート数32のKVMスイッチ。 1台あたりの同時アクセス数は4から 8に増え、接続可能なユーザの業務用 PCも従来の96台(DKX2-416×6台)から128台と増えた。

 また、KVMスイッチの台数が6台から4台と減ったことなどで、導入費用を大幅に抑えることが可能となり、コスト面の要件もクリアすることができた。

KVM System全体構成

 

     カストマー・サービス本部<br />     カストマー・ケア・センター<br />     ヘルプデスク<br />     槻 雅史 氏
 2013年3月、KVMシステムの入れ替えが行なわれた。システムの入れ替えに使える時間は、深夜帯の数時間。前回導入時の手順書を基にあらかじめポートマトリクス図を作成し、配線作業を迅速に行なえるよう工夫しながら機器の入れ替えと再接続作業を実施、数時間でシステム構成変更を完了した。

 

 導入後、DKX2-832は問題なく稼働している。導入の効果について槻氏は、「接続待ち時間の発生は全くなくなりました。ゼロです。入れ替え直前には毎日のように待ち時間が発生する状況だったものが完全に解消できました」と語る。また、操作感についても「システムの入れ替えによる操作感などの変化、影響はほとんどありません。シームレスに移行できたと思います」と犬童氏。

 前回の導入により実現した、作業環境の改善、スペース効率の向上、省電力化、セキュリティ強化というメリットはそのままに、今回、同時アクセス数の増加により接続待ち時間を解消。お客様満足度の向上と、業務のさらなる効率化を実現することができた。

 

     日本NCRが導入したDominion KX IIとCC-SG
今回の移行プロジェクトを指揮した野口氏も「プロジェクトは成功です」と評価する。

 

 最後に筒井氏に今後の展望を伺った。「まだすべての機能を活用しているわけではないので、今後はさらに活用度を高めていきたいですね。 CC-SGにはiPadアクセス機能もありますので、それを使っていつでもどこからでも操作できるといった活用法も検討していきます。ラリタンさんからもアドバイスや提案をもらいながら、新たな活用を模索していきたいと考えています」と語った。ラリタンでは今後もKVM活用を通じて、日本NCRのヘルプデスク事業を支援していく。

導入前の課題

  • ヘルプデスク業務に「Dominion KX II-416」を採用していたが、サービス対象の増加により、業務PCへの接続待ちが発生。待ち時間の短縮

導入製品  ※2008年導入製品をリプレース

  • KVM-over-IPスイッチ「Dominion KX II-832 4台、アクセス統合管理ツール「CommandCenter Secure Gateway V1 2台

導入効果

  • 作業環境の改善、スペース効率化、省電力化、セキュリティ向上を維持しつつ、同時アクセス数の倍増により接続待ち時間を解消


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