長野県パトロール株式会社 - 導入事例 - リソース

長野県パトロール株式会社

長野県の最新データセンターがラリタンのPDUとKVMを導入
安心・安全、低コストで利用できるサービスを実現

 

    長野県パトロール株式会社  長野県小諸市に自社データセンターを構え、「NPデータセンターサービス」を提供する長野県パトロール株式会社(以下、長野県パトロール)。2012年11月に稼働を開始したNPデータセンターは標高679m、海岸線や大きな河川からも離れた立地で水害や液状化の恐れが少なく、地震リスクも低い強固な地盤上に建設されている。新幹線で東京から約80分という利便性の高さも魅力で、首都圏のDR(災害対策)やバックアップセンターとしてはもちろん、駆け付け可能なメインセンターとしても利用できるデータセンターとなっている。

 長野県パトロールでは、NPデータセンターの新設にあたり、PDUおよびKVMにラリタン製品を導入。NPデータセンターサービスの電源管理、リモート運用を支えるラリタンのPDU、KVM製品について話を伺った。

警備会社が運営する低コストで安心・安全なデータセンター

 

ITソリューション事業本部<br />SI部<br />課長   柳沢 一彦 氏
ITソリューション事業本部<br />ソリューションサポート部<br />係長   新井 宣代 氏
 長野県パトロールの創立は1969年。その名の通り、長野県小諸市を中心に警備保障事業や総合防災事業を展開している。データセンターサービスを開始したのは10年ほど前のこと。「当時はサーバなどをお預かりするサービスは提供していなかったのですが、安全な警備会社でサーバ機器を預かって欲しいという、お客様からの強いご要望によりデータセンターサービスをスタートしました」と話すのは、長野県パトロール ITソリューション事業本部SI部課長の柳沢一彦氏。顧客の要望からスタートという珍しい成り立ちを持つデータセンターサービスだ。以来、同社は長野県を中心に多くの企業システムの構築、運用を手がけている。

 長野県パトロールでは2012年11月、社屋を現在の土地に新設移転した。それと同時に、設備を一新してNP データセンターを建設し、提供するデータセンターサービスも拡大した。 新設されたNPデータセンターでは高効率な空調システムを導入。ソリューションサポート部係長の新井宣代氏は「最新の空調システムを採用し、長野の冷涼な気候を利用して冷却水の熱交換を行うことで、さらに効率を高めています。これら効率化の取り組みにより、お客様に低価格で高品質なサービスを提供することが可能となっています」と語る。NPデータセンターではハウジングサービスとバックアップクラウドサービスのほか、監視システムの画像保管サービスなども提供されている。

 NPデータセンターの新設にあたっては、冷却システムのほかにも免震床装置、48時間という長時間稼働可能な自家発電設備など、最新の設備が採用された。同時に、ラック内機器に電気を届けるPDUやKVM スイッチなど内部の装置・設備についても選定が行われた。

 「当初PDUについては、採用した統合監視ソリューション標準のものをそのまま利用するつもりでしたが、サービスの仕様上、コンセントごとの電力を計測できるPDUが望ましいということになり、探し始めました」と柳沢氏は言う。

ラリタンのPDUとKVMを採用し、効率的な料金プランと運用を実現

 NPデータセンターのPDUとして採用されたのが、ラリタンの「Dominion PX」シリーズである。コンセント単位で電力が計測できること、すでに採用の決まっていた統合監視ソリューションで利用できるPDUであることに加え、「導入コスト的にも大変魅力的でした」と柳沢氏。

 PDUについて新井氏は、「NPデータセンターのハウジングサービスでは、1Uから1/4、1/2、1/1ラックまで、基本電源を1A(アンペア)とさせていただいています。お預かりした機器の消費電力を計測し、電気容量が1Aを超えた分については別途ご請求させていただくという料金形態ですので、コンセント単位で電力を計測できるPDUが必要だったのです」と話す。具体的には、5分ごとの電流の平均最大値を収集し、毎月の最大値が1Aを超えた場合に、電源および金額の見直しを行うという珍しい課金形態だ。ただし、1U単位でハウジングサービスを利用しているケースではほとんど実測1A内に収まっているとのことで、ほかのデータセンターサービスのように最初から10A、20Aと大きな容量を提供するよりも、コスト的にも効率的にも優れた電源提供形態と言って良いだろう。柳沢氏も、「コンセント単位で計測できるDominion PXがあったからこそ、このような効率的な電源提供、料金体系が実現できました」と語る。

 今回採用されたDominion PXは、「DPXR8-15-J(1Uサイズ8アウトレット、100V/15A)」が24台、「DPXR8A-20L6-J(1Uサイズ8アウトレット、200V/20A)」が22台、「DPXS20-30L-J(0Uサイズ20アウトレット、100V/30A)」が10台、「DPXS20A-30L6-J(0Uサイズ20アウトレット、200V/25A)」が12台で、計70台となっている。ハウジングサービスの提供形態、マウントする際の物理的な制約、電源容量、仕様によってマウントレイアウトを最適化している。なお、1/4、1/2ラックで導入されている1UサイズのPDUについても、使いやすさを考慮してPDUを縦にしてラック内の側面に取り付けている。

 

1Uタイプの「Dominion PX」シリーズを縦にしてラック内の<br>側面に設置。スペースの有効活用と使い勝手を向上させている。

 「現在稼働している第1期分のラックすべてにDominion PXを導入しました。次の第2期以降の拡張時にもDominion PXを導入していく予定です」(新井氏)

 KVMスイッチは、従来、利用していたラリタンの「Paragon II」をもう 1台追加し、計2台体制とした。サーバルーム隣の作業ルームにKVM スイッチを設置することで、データセンターを利用する顧客がサーバルームに入ることなく設定や運用の作業を行うことができ、サーバルームのセキュリティも向上することになる。KVMスイッチの選定について柳沢氏は、「Paragon IIは従来のデータセンター運用でも利用していたもので、使い勝手についても不満なく、機能もよく分かっていましたので、迷うことなく採用しました」と語る。

さらなるPDUの活用も視野に、今後もサービスを拡大していく

 2012年11月、NPデータセンターは正式にサービスをスタート。「Dominion PX」、KVMスイッチ「Paragon II」ともに問題なく稼働している。

 「要件もすべて満たし、当初目的としていたことも期待通りに達成していますので、満足しています。PDUについては現状、電力情報の収集や機器の最適化が主な目的となっていますが、今後は環境センサによって得られる、より細やかなデータを利用したサービス提供など、新しい取り組みも始めていくつもりです」と柳沢氏は言う。統合監視ソリューションと組み合わせて、レポート機能の拡大や使用状況から電源効率のよいシステムの設置・構成の提案など「最適な電源管理の方法」の提案にも繋げていくつもりだ。

 

ラックに取り付けられた「Dominion PX」シリーズ。写真は0Uサイズ、20アウトレットのもの。
コンセント単位で電流量や電圧値などを計測し、リモートから電源供給のオンオフも制御が可能。ユーザーやSEがサーバールーム内で作業しなくて済むようParagonⅡを用意し、メンテナンス時の基本サービスとして貸出

 「KVMスイッチもすでに多くのお客様にご利用いただいております。サーバルームに入らずに作業できるということで好評です」と新井氏。NP データセンターでは作業ルームのほかに、いくつかのミーティングルームにもKVMスイッチのポートや電源を用意しており、災害など万一の際には一時的な情報システムの拠点として長期で利用するといったことも可能となっている。

 「NPデータセンターはまだ始まったばかりです。これからもやりたいことがたくさんありますので、ラリタンさんとは今後も情報交換など密に連携を取っていきたいですね。長野県のデータセンターとして、規模では都心型の大手データセンターにはかないませんが、1Uから効率的に、低コストで利用できるデータセンターとして、中堅中小規模のお客様にもご利用していただきやすいサービスや機能を拡大していきたいと思います」と柳沢氏は今後の展望を語った。

導入目的

  • 柔軟なサービス提供のため、コンセント単位の電力計測が可能なPDUを選定・採用

導入製品

  • 「Dominion PX」シリーズ70台、「Paragon II」2台

導入効果

  • コンセント単位での電力計測が可能になったことにより、小さな単位でも利用しやすいサービス料金体系を実現した

  • IT機器の消費電力を把握し、マウントレイアウトを最適化できた

  • サーバルームに入ることなくサーバ操作が可能となり、お客様の利便性が向上した

 


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