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AOL、インテリジェントな電源管理ソリューションの 導入で、データセンタのエネルギー消費を削減し ラックの未使用容量を特定

米国の大手インターネットプロバイダーAOL は、サスティナ ビリティ(企業の持続可能性)において高い評価を得ている。 ウェブサービスをグローバルに展開する同社では、光熱費と CO2 排出量を抑制するために、エネルギーの削減と保全のイニ シアチブを数多く実践している。また、斬新なグリーンビルディ ングの建築や従業員のテレワークプログラムなど、省エネのた めに様々な手段を講じている。たとえば、蛍光灯の使用、始業 時間の繰り上げのほか、ビル内の照明や冷暖房を自動的に切断 する自動化システムなどが挙げられる。こうした努力により、 近年では、EPA やエネルギー省の「ENERGY STAR®」賞など、 多数のグリーンアワードを受賞した。

AOL のエネルギー消費の大部分は、何千台ものサーバやスイッ チ群を擁するデータセンタで発生している。データセンタでは、 AOL のコンテンツをホスティングしたり、メッセージをグロー バルに配信したりしている。光熱費やCO2 排出量への影響を最 小限に抑えるため、AOL は信頼性が高く、持続可能でエネルギー 効率に優れたデータセンタの構築を検討した。

データセンタのエネルギー効率を管理するための測定

AOL のIT チームは、サーバやルータ、スイッチの消費電力に 関する詳細なデータを必要としていた。同チームは、データセ ンタ内のすべての電源コンセントのエネルギー消費情報を簡単 に入手して、全体的なエネルギー使用量を正確に把握すること でエネルギー効率の改善につなげたいと考えていた。

AOL では2009 年からラリタン製品を使用しており、データ センタにリモートサーバ管理や制御ソリューションを導入する などの多数のプロジェクトを進めてきた。

最近では、電源コンセントレベルで詳細なデータ収集が可能な ラリタンのインテリジェント電源管理ソリューションを活用することにより、AOL はエネルギーの効率化を進めると同時に、 サーバラックの容量管理も改善している。

「我々の主要目的は、エネルギー使用量の削減と容量の特定を 行い、高効率で高可用性のあるデータセンタを運営することで す」と、AOL のシニアIT ディレクタであるWill Stevens 氏は 述べている。さらに同氏は、「ラリタン製品の導入を決めた理 由はとても簡単でした。ラリタンの電源コンセントレベルの測 定機能に匹敵する他社製品がなかったからです。我々には既存 のデータセンタに導入できると同時に、新規の場所でも使用で きるソリューションが必要でした。特に、データ収集機能、分 析とレポート作成機能およびオープンインタフェースのサポー ト機能を備えるラリタンのソリューションは魅力的でした」と 付け加えている。

「ラリタン製品の導入を決めた理由はとても簡単でした。 ラリタンの電源コンセントレベルの測定機能に匹敵する 他社製品がなかったからです」
AOL シニアIT ディレクタ
Will Stevens 氏
エネルギー情報の収集

AOL は、同社の2 箇所のデータセンタで、ラリタンのインテ リジェントラック電源PDU(iPDU)Dominion PX を導入し、 リアルタイムでPDU とコンセントレベルの両方で消費電力を 測定できるようになった。さらに同社は、新規データセンタで もDominion PX(DPX)を導入している。

DPX に組み込まれたコンセントごとに別々のプロセッサやセ キュアな接続性によって、AOL は実際の出力やリアルタイム のラック温度や湿度など、PDU に接続された個々の機器のエ ネルギー情報を収集できるようになった。

Power IQ 冷却チャート

AOL はデータセンタに24 ポートのDPX を導入した。電源に 接続したDPX の背面のポートにサーバ、UPS およびその他の IT 機器を接続している。

各DPX には、LED 電力メータ、シリアルポートおよびイーサ ネットポートが搭載されている。Web ベースのダッシュボー ドで何回かクリックするだけで、AOL のIT スタッフは個々の 機器から電力情報を入手できると同時に、世界のどこからでも 温度、湿度センサからの情報も入手できる。収集される電力情 報は、電圧、電流(アンペア)、力率、皮相電力(kVA)、有効 電力(kW)およびキロワット時でのエネルギー消費(kWh) に関するデータである。

「特に、データ収集機能、分析とレポート作成機能および オープンインタフェースのサポート機能を備えるラリタンの ソリューションは魅力的でした」
AOL シニアIT ディレクタ
Will Stevens 氏

ラリタンのiPDU および他社製の一般的なラックPDU からの情 報は、ラリタンPower IQ エネルギー管理ソフトウェアで収集 できる。Power IQ のWeb ベースのダッシュボードでは、すべ ての情報を一元的に中央コンソールで表示でき、管理、チャー ト作成およびレポート作成ができるほか、システムに対する電 源制御も可能である。このソリューションを使用するとAOL は ラックの温度を監視でき、温度が一定のユーザー定義のしきい 値やASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers:アメリカ暖房冷凍空調学会) で設定された業界のガイドラインを超えた場合に、警告を送信 できる。

温度分析機能は、ラックの温度を監視してデータセンタが ASHRAE ガイドラインの範囲内にあるかを冷却チャートでレ ポートできるように設計されている。ラック温度を収集して読 み取ったデータがチャートで表示され、構成が許容範囲内であ るかどうかを判断できる。「データセンタ内で熱の高くなって いる箇所を特定でき、IT インフラを危険な状態にしない範囲で 周辺の温度をどの程度上げることができるかを決定できます」 と、Stevens 氏は述べている。

Power IQ 有効電力レポート

Power IQ は、ASHRAE ガイドラインを超えない範囲で温度を 若干上げることにより、どの程度エネルギーを削減できるかを 計算する。ほんの少し温度を上げると、データセンタは冷却の 必要性が低くなるため、エネルギーの消費は減少する。温度分 析機能では、たとえば、いずれかのラックがしきい値を超える と警告を送信するように設定でき、長期間にわたる傾向を チャートで表示することもできる。

AOL はまた、ラリタンのエネルギーソリューションを使用し、 機器の規格に表示された数字に頼ることなく機器のリアルタイ ムの消費電力情報を利用して貴重なラックスペースを特定す る。多くの場合、実際の消費電力は機器の規格に表示されたワッ ト数やアンペア数の約50 パーセントである。

さらに、AOL はPDU を一元管理できるPower IQ のメリット を十分活用している。すべてのPDU ユニットのファームウェ アと構成の管理、およびDPX が健全な状態であるかの監視は Power IQ で実行できる。たとえば、すべてのDPX デバイスの ファームウェア一括アップグレードは、単一のアクセスポイン トを通して実行できる。

IT のCO2 排出量の追跡と削減

「ラリタンのソリューションは、エネルギーの使用量とその傾 向をグラフ表示してCO2 排出量を追跡できるため、どの部分 で節約が可能かを明らかにしてくれます。サーバに電源は入っ ているがあまり処理を行っていないといったようにエネル ギーを無駄にしている機器を洗い出したり、過度な冷却を行っ ている箇所を特定できます。ラリタンのエネルギー管理ソ リューションは、コストを削減するのみならず、リアルタイ ムの監視体制も提供してくれます」と、Stevens 氏は述べて いる。

顧客

AOL は、毎月1 億1,200 万人がウェブサイ
トに訪れる最先端のウェブサービス企業であ
る。25 年間に及ぶ成長を続ける同社のビジ
ネスは、オンラインコンテンツやローカルコ
ンテンツなどのインターネットサービス、一般
消費者や出版業者、広告業者向けの革新的な
商品や価値の高いサービスの提供など、多岐
にわたる。様々なイニシアチブの実践を通して
環境への影響を少なくすることを目標にビジ
ネスを展開したAOL は、エネルギーの効率
改善に関するUptime Institute 社のGreen
Enterprise IT Award を獲得した。

課題

AOL のIT チームは、データセンタの全体的
なエネルギー効率を改善したいと考えており、
そのため、サーバやルータ、スイッチ類の消費
電力の正確な測定値を必要としていた。また、
各電源コンセントのエネルギー消費を測定し
て、エネルギー使用量の全体像を正確に把握
したいと考えていた。

ソリューション

電源管理
Dominion® PX ™ インテリジェントラックPDU
Power IQ® エネルギー管理ソフトウェア

効果

AOL のIT スタッフは個々の機器から電力情報
を入手できると同時に、世界のどこからでも温
度や湿度センサからの情報も入手できるよう
になった。データは単一の中央コンソールに表
示され、管理機能、チャート表示機能、レポー
ト作成機能が提供され、さらにシステムに対
する電源制御も行われる。

エネルギーの使用量と傾向をグラフ表示し
CO2 排出量を追跡することにより、エネルギー
を無駄にしているデバイスや過度な冷却をして
いる箇所を特定でき、エネルギーを節約でき
る部分を明確にすることができる。


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